近年、リースバックによる自宅の売却件数が増加傾向にあります。
リースバックは、現金化が難しい不動産を資金調達の手段として活用することができ、家計の改善や老後資金として利用されています。
リースバックでの売却は、不動産会社による買取となり、通常の売却金額で売ることはできません。
不動産の売却を考える際に、通常の売却が良いかリースバックが良いかを判断するためには、リースバック時の相場を知ることが必要となります。
リースバックの相場とは、売買金額と賃料になります。
今回は、不動産業界で18年従事しリースバック取引も行う私が、リースバック時の売買価格・賃料の相場について詳しく解説します。
本授業のレベルsection
本日は、リースバック時の売買金額と家賃の相場についての授業になります
リースバック会社がどのような基準で売買金額と家賃を設定しているについて、詳しく解説するぞ
リースバック相場を知ることで、より具体的な検討に役立ちますね。
では、よろしくお願いします。
リースバックとは・・
リースバックとは、不動産の所有者が自己所有する物件を売却し、同時にその不動産を借り受けることで現金化し、利用する方法です。
不動産を売却し、現金化した資金を生活資金などに活用できます。
リースバックとは、以下の2つの契約を同時に行う取引の名称です。リースバック契約という契約はありません。
・不動産売買契約
・賃貸借契約
リースバックにおける売買契約書では不動産の売買金額や買戻しといった条件を記載し、賃貸借契約書では賃貸借期間や家賃の金額について記載します。
賃借人は、賃貸借期間内であれば、リース料を支払い続ける限り物件を利用し続けることができます。
リースバックの賃貸借期間は、予め賃貸借期間を定めた定期賃貸借契約タイプが主流で、期間満了後に退去が必要となります。
高齢者等、長期的に住み続けることを希望する世帯には、普通借家契約でのリースバックが利用されています。
定期賃貸借契約の期間が終了する場合、借り手は退去するか、売買契約時に買戻しの条件を設定している場合には、物件の買戻しをすることができます。
リースバックのメリットとデメリット
リースバックのメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
・短期間での現金調達が可能
・引越しが不要
リースバックは、引っ越しを伴わず自宅を現金化できるというメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。
・売却金額が低くなる
・家賃が負担になる場合がある
リースバックを検討する際には、メリット・デメリットを考え慎重な判断が必要です。
リースバックの相場とは
リースバックおける売買金額と家賃は、リースバック会社によって異なりますが、一定の相場があります。
【リースバック】売買金額の相場
リースバックにおける売買金額の相場は、通常の売却価格の70%前後と言われています。
通常の売却価格とは現在の売出金額ではなく、過去の周辺成約相場の平均値を元に算出している点です。
リースバックのおける売買金額は様々な要素で決定されるため、実際には相場と乖離する場合があります。
例えば今売り出されているマンションがあれば、それを基準にリースバックも売買金額も計算できますか?
売出価格は成約相場より高く出される場合もあり、実際に売却された金額ではないため、あまり参考にはされていないぞ
【リースバック】家賃の相場
リースバックでの売買金額と家賃は密接に関係しています。
リースバックにおける家賃は利回りで計算されており、表面利回りで7%~8%前後、実質利回りで5.5%~6.5%前後で設定されることが多くなっています。
表面利回りってなんですか?
「表面利回り」とは不動産投資で使われる用語で、不動産の収益性を表す指標だ。実質利回りとセットで覚えておく良いぞ
表面利回りとは、年間家賃で売買金額を割ることで求められます。
例えば家賃が10万円の場合、年間家賃は120万円です。売買金額が1,800万円の場合、120万円÷1,800万円×100で表面利回りは6.6%となります。
実質利回りは、年間の家賃から固定資産税や修繕金等を差し引いた実質的な利回りを指します(マンションであれば、管理費や修繕積立金等です)。
表面利回りより低くなります。
「表面利回り」と「実質利回り」を比較した場合、リースバック会社は実質利回りの方を重視する傾向があります。
理由は、実質利回りの方が不動産の収益性を正確に示しているからです。
リースバックの相場の決定要因
リースバックの相場を決定する要因としては、以下のようなものが挙げられます。
参入企業の数
リースバック事業を行う企業の数は、売買金額や家賃と言った相場に影響を与えるため重要です。
リースバックを行う企業は、不動産売買における買主になります。
リースバックで買いたい企業の数が増えれば買主が増えることになり、需要と供給の関係で売買金額は高くなる傾向があります。
逆にリースバックに取り組む企業の数が少ない場合は、リースバック商品の開発も進まないため利用者にとって良い条件の会社も少なくなります。
不動産の種類
不動産の種類はマンションと一戸建てに分かれます。
マンションと一戸建ては、鉄筋コンクリートか木造かで法定耐用年数が違い、リースバックの査定評価方法も異なります。
不動産の価値を公平に算出するために、法律で定められた減価償却の年数。
定められた年数が経過すると不動産の価値は0になると考えられます。
不動産の種類 | 法定耐久年数 |
---|---|
一戸建て(木造) | 22年 |
マンション(鉄筋コンクリート) | 47年 |
マンションと比べて法定耐久年数が短い木造一戸建ての場合は、建物の築年数が20年以上経過している場合、将来的な建物の価値は概ね0円として評価されることが多くなります。
一戸建てのリースバックの場合は、建物の価値が0円となることが多いことから、土地の評価額を基準に算出されることが多いぞ
周辺の売買相場
リースバックにおける売買金額は、対象の不動産が将来いくらで売却できるかという点か重要です。
周辺での過去の売買事例等があれば、相場の材料として判断されます。
マンションの場合であれば、同一マンションの売却事例を元に算出されます。
一戸建ての場合は土地の周辺相場を元に算出されますが、取引事例少ない場合等は、周辺路線価等の土地単価を基準に算出されることもあります。
都心部のマンションは棟内・周辺の取引事例も多いため、相場が分かり易くなっているぞ
周辺の賃料相場
周辺の家賃相場もリースバックの賃料を決める上では重要となります。
リースバックでは、売買金額を最初に算出し、売買金額から賃料を利回りで計算するという手法が取られることが一般的です。
家賃設定は売買金額からの利回り計算である程度は決まってくるものですが、周辺の家賃相場を無視しているかと言えばそうではありません。
最終的には周辺の家賃相場と比較しながら、家賃が調整されることになります。
不動産の立地
不動産は立地によって収益性としての評価が異なります。
不動産の立地によって、期待する利回りが変わるため、家賃設定にも影響を与えます。
リースバックの場合、人口が多い都心部の不動産は資産価値が高いことから、家賃が同額でも売買金額が伸びやすい傾向があります。
家賃が同額で売買金額が高いということは、利回りが低くなります。
買主であるリースバック会社としては利回りが低いと収益性が悪くなりますが、利用者からすればリースバックの条件が良いと言えます。
一方で、人口が少ない郊外立地では不動産の需要が少ないことから、売買金額が低く計算されることになるため、利回りが高くなります。
同じ築年数のマンションでも、東京都心部と地方都市の場合は2%以上の利回りの差があることもあります。
賃貸借期間
リースバック時の賃貸借期間は、売買金額や賃料にも影響を与えます。
賃貸借期間によって売買金額が異なる理由は、将来の不動産価格の変動を考慮する必要があるからです。
リースバック会社は、将来賃借人が退去した後の転売益を想定しています。
例えば、現在2,000万円で売買されている物件を70%の1,400万円でリースバックしたとします。
賃借人が退去した後に2,000万円で売却することができれば、600万円の利益が確保できます。
リースバックの賃貸借契約が1年~3年の短期間であれば、上記のような想定をすることができますが、10年後・20年後はどうなるかが分かりません。
マンションであれば、築年数と共に売買価格は下がりますし、不動産相場も大きく変動する可能性もあります。
賃貸期間が長くなれば、確保できる利益が減少する可能性が高くなるため、売買金額も低くなります。
一般的な考え方として、賃貸期間が短期になる程、リースバックの条件が良くなる傾向があります。
短期のリースバックでも不動産会社による買取となるため、通常の売却よりは安くなるぞ
不動産の状態
現在の不動産の状態が、リースバックの条件に影響を与える場合があります。
例えば一戸建ての場合、築年数が古く耐震性にも問題があるような場合は耐震補強等を行う必要があり、補強工事に必要な費用が売買価格から差し引かれることになります。
リースバックの相場のトレンド
リースバックの相場は、不動産市場や経済状況の変化によって影響を受けることがあります。
リースバックがトレンドになったのは最近!?
リースバックがトレンドになり始めたのが2010年代後半からであり、それまでは一部の企業しかリースバックに取り組んでいませんでした。
最近になって、大手の不動産業・金融業の企業がリースバック事業に乗り出したことで、多くの人に認知が広がり利用されるようになっています。
リースバック取扱企業の数が増えれば、企業間での競争が生まれます。いわゆる「市場の奪い合い」です。
各社が市場でのシェアを拡大したいと考えるため、より利用し易いリースバック商品の開発に取り組むようになります。
リースバックの条件は以前より良くなった?
以前はリースバックを行っている企業が少なかったため、利用者がリースバック会社の提示された条件で受け入れるしかありませんでした。
最近では、多くの企業がリースバックに取り組んでいることから、利用者は各社の条件を比較検討をしながら、より条件の良いリースバック会社を選ぶことができるようになっています。
リースバック会社が提示する売買価格・家賃といった条件も、競争原理が働ことで以前よりも良くなっていると言えます。
今後のリースバックのトレンドは?
リースバックを利用している主な世代は高齢者で、検討理由として多いのが「老後資金のため」となっています。
高齢化社会が加速していくことを考えると、日本でのリースバックの需要は今後も増えていくでしょう。
しかし、リースバックは不動産を買い続けて保有し続ける事業です。
企業はリースバックを続ける限り、リースバックによって購入した不動産の保有資産が増えていくことになりますが、不動産を買い取るための資本も無限にある訳ではありません。
今は積極的にリースバックに取り組んでいても、いつかは企業規模に応じた限界が来るものと考えられ、将来的にリースバック事業を拡大し続けることができる企業は、より資本力がある会社に限られる可能性があります。
今後は企業がリースバックで購入した不動産を売却していくという新しいトレンドが生まれる可能性もある
売却により賃貸人が将来変わる可能性があることも考えると、引き継がれることになる賃貸借契約の内容は非常に重要ですね
リースバックの相場を知るための査定依頼先は?
リースバックの査定を依頼する方法としては、大きく以下の3つの方法があります。
①リースバック会社に依頼する。
②大手不動産仲介会社に依頼する。
③リースバック専門の仲介会社に依頼する。
上記の中でもお勧めなのが、③リースバック専門の仲介会社に依頼する方法で、理由は以下の3点です。
①宅建業者による仲介取引
②リースバックの取引実績が豊富
③一括でリースバックの査定を依頼することが可能
①宅建業者による仲介取引
不動産の売買は高額な取引のなるため、通常は宅建免許を持った不動産仲介会社による仲介取引となるのが一般的です。
しかし、リースバック等のように宅地建物取引業者が買主として購入する場合は、不動産仲介会社を入れずに直接取引することが可能です。
不動産仲介会社が入らないことで、利用者とリースバック会社間で説明不足などによるトラブルが発生することもあります。
不動産仲介会社による取引の場合は、不動産取引の説明責任が仲介会社に発生するため、仲介会社はリースバックの説明を書面等で利用者にしっかりと行います。
不動産仲介会社から細かな説明を受けることで、誤解によるリースバックのトラブルが少なくなると言えます。
不動産仲介会社が入らないリースバック会社との直接取引の場合、通常不動産取引で行われる重要事項説明が省略されることが多いぞ
②リースバックの取引実績が豊富
リースバックは通常の売却と異なる点が多いことから、売主・買主間でのトラブルが発生しやすい取引です。そのため、実績が多い専門の仲介会社に依頼する方が、より安全に取引することができます。
リースバック取引実績の多い専門会社であれば、過去の経験から利用者に対して説明するポイントも理解しています。
リースバック専門の仲介会社であれば、リースバックの仕組みやメリット・デメリットを的確に伝えることができるため、利用者も納得した上で取引を完了することができます。
不動産会社の中には、リースバック取引を行ったことがない担当者も多いから注意が必要だ
③一括でリースバックの査定を依頼することが可能
リースバック専門の仲介会社は、大手リースバック会社を中心に数多くの会社と提携しています。
依頼者からリースバックの査定があった際には、同時に複数のリースバック会社に一査定依頼を行い、各社の査定内容を纏めて利用者に提案を行います。
複数のリースバック会社の査定を比較することで、リースバックの相場を正確に知ることが可能です。
自分で色々なリースバック会社に問い合わせる手間が必要ない為、効率的にリースバックの検討をすることが可能となります。
【おすすめ】リースバック専門の仲介会社
リースバック専門の仲介会社は何社か存在しますが、最も利用されている会社としておすすめできるのが株式会社応援宣言です。
株式会社応援宣言は「家まもルーノ」というリースバック一括査定サイトを運営しており、サイトを通じて査定の依頼を申込むことができます。
「家まもルーノ」をおすすめする理由としては、以下の3点です。
①業界のパイオニアで豊富な実績
②1人の担当者が窓口となりサポート
③大手を含む100社以上のリースバック会社と提携
リースバック専門の不動産仲介会社
・リースバック一括査定のパイオニア
・担当者は1人で負担が少ない!
・全国47都道府県の対応が可能
・査定依頼は完全無料!
その他のリースバック専門の不動産会社については以下の授業も参考にしてほしい
まとめ
リースバックは、不動産の現金化方法の一つであり、生活費や老後資金の確保を目的として利用されることがあります。
リースバックのメリットとしては、引っ越しを伴わずに早期に自宅を売却し、資金を捻出できる点です。
一方、リースバックのデメリットとしては、一般相場に比べて売買金額が低くなる点や将来的に家賃が負担になることがある、といった点があります。
リースバックの相場は、売買価格で通常売却相場の70%程度、家賃は表面利回りで7%~8%程度となっています。
リースバックの相場の決定要因としては、リースバック取扱会社の数、不動産の種類・立地、賃貸借期間、不動産の状態、賃貸料相場、不動産の売却相場などが挙げられます。
リースバックの売却価格と家賃は、リースバックを検討する上で重要なポイントです。
リースバック時の売却価格と家賃の相場を知ることで、リースバックを検討すべきどうかを判断することができます。
リースバックを検討する際には、メリットとデメリットを考慮し、慎重な判断をすることが重要です。